詩の朗読再生
No.15 (1967年、30歳)
二人
(セメント彫刻、67.0×91.5㎝、奥行58.0㎝)
結婚6年。
就実へ就職して4年。
僕は、学校では、恰好良く話せる教師として、芸術論や革命理論を熱く語る。
そこは、僕の戦場だ。
私生活では、悩みと葛藤が続く。
大学専攻科卒業後2年半、26歳の妻は中学校で臨時の国語教師をした。
その妻が、突然、言う。
「別居しましょう。互いの心の平安を守る為に。二人の子は、母と協力して、私が育てます。私は、自立へ向けて、一人で生きて行きます。今の生活に耐えられません」。
「何を言うのだ。体が弱い君が、一人で子育てが出来るわけがない。長女が生まれた時、世間から、何と言われようと、二人で力を合わせて子を育て、立派に生きると誓ったではないか。僕達は、別々には、生きられないのだ。今、君を失ったら、僕は、生きる目的も、意味も失う。君と別れることは、死を意味する。二人は、一人だ。二人で、一人だ」。