詩の朗読再生
No.16 (1967年、30歳)
両脇に子を抱く男の立像
(セメント彫刻、162.5×19.0㎝、奥行36.5㎝)
妻は、言語聴覚士になる為に、来年4月から1年間、単身で東京へ研修に行く。
5歳と3歳の子を、自分の母と僕に託して。
僕は、妻の長期研修を受け入れられず、二人の子を、両脇に抱えて、百間川の夕日を見る。
僕は、毎日、死ぬことばかりを考える。
「何故、二人の子が大きくなるまで待てないのだ。僕がそんなに頼りないか。あなたが居ない家で、僕は、一人で、どうやって生きれば良いのだ」。
革命を語りながら、僕の心は、世間の常識そのものだ。
どんなに愛していても、夫婦は他人だ。
立っている足元が、音を立てて崩れそうだ。