詩の朗読再生
No.87 (1987年、49歳1ヵ月)
父の死(人間はどこから来て、どこへ行こうとするのか)
(セメント彫刻、170.0×70.0㎝、奥行30.0㎝)
1987(昭和62)年1月1日、午前3時半、83歳の父が亡くなった。
心筋梗塞による突然死だった。
父を失った悲しみは、葬儀後、僕を襲って来た。
涙が止まらなくなった。泣けて、泣けて仕方がなかった。
酒を飲んで、13歳の長男に、父を失った悲しみをぶつけたが、長男には、僕の悲しみは解らなかった。
写経を5冊したが、悲しみは収まらなかった。
人がいない時は、号泣した。
僕は、父への鎮魂の思いを込めて、彫刻を作った。
「一つ、積んでは父の為、一つ積んでは母の為」。
心の中で、念仏を唱えながら。
僕は何処から来て、何処へ行こうとするのか。
僕の命は、父母とその祖先から、連綿と受け継がれたものだ。
骨の一つひとつまで。
最愛の父の死は、馬鹿なことで、妻を泣かせた僕に、父が下した鉄槌だった。
慟哭しても、慟哭しても、悲しみは収まらず、僕は、父の死を、長く 長く、引きずることになった。
父の死を契機に、僕の生き方は変わった。
父が僕に諭したように、妻を大切にして、最後まで添い遂げるのだ。
苦しいことが有っても、決して逃げてはいけないのだ。