詩の朗読再生
No.18 (1968年、30歳。春、妻が不在の家で)
二人の子を抱いて空に吼える
(セメント彫刻、148.0×126.0㎝、奥行52.0㎝)
1968年4月、27歳の妻は、単身東京へ研修に行った。
妻が不在の家で、僕は、寂しさに耐えられず、毎夜、居酒屋で酒を浴びるほど飲んで、朝帰りをする。
妻の母は、酒を飲んで朝帰りを繰り返す僕に、愛想をつかし、僕と二人の子を残して、田舎へ帰った。
5歳と3歳の子を、両腕に抱えて、僕は途方に暮れて、空へ吼える。
「仕事をしながら、どうやって二人の子を育てろと言うのか」。
7月、妻が、二人の子を連れに帰った。
東京で暮らす僕の両親に、二人の子を託し、研修を続ける為に。
僕は、一人になった。僕は、自分の内面の古さと弱さを露呈しただけで、妻子を守れなかった。