詩の朗読再生
No.78 (1984年、47歳)
人間の裏Ⅱ
(セメント彫刻、111.5×42.2㎝、奥行28.5㎝)
現実の僕は、がんじがらめで身動きがとれない。
教師・彫刻家・父・夫というしがらみ。
僕は叫ぶ。
「解き放て。自由にせよ。全ての束縛から、解放せよ。父は要らない。夫も要らない」。
大酒を飲んで、太宰をまねて「子よりも親が大事」と、うそぶいて見る。
太宰のように、妻以外の女と無理心中すれば楽になる。
だが、全ては、酒の上での戯言。酒が覚めれば、現世の苦悩は、僕の内面へ沈殿し、理性の重しに抑えられ、その深みから、出て来ることは、決してない。
「人生はがんじがらめ。束縛だらけだ」と喘ぎながら。