動画と詩の朗読再生
No.51 (1978年、41歳)
彫刻家の孤独
(セメント彫刻、87.0×41.0㎝、奥行79.0㎝)
40代になって、彫刻家の仕事も、学校の仕事も、責任が重くなり、僕はその両立に苦しんでいる。
多忙な日常に、身動きが出来ず、僕は、過労死寸前だ。
僕は、真面目な性格で、手抜きが出来ない。
1977年11月20日、40歳になったばかりの夜、僕は、一過性の脳虚血発作で、1週間、入院した。
発見が早く、適切な治療を受けたので、症状は完治したが、この日から、僕は、死の恐怖と誘惑から、逃れられなくなっている。
死は、全てを一瞬にして無にする。
その恐怖と畏怖。
僕には、3人の子がいて、妻もいる。
「死ぬのは嫌だ。子らと妻の為に、一日でも長生きしたい」と願う反面、疲れた時には、「このまま死なせてくれ。死ねたら、どんなに楽だろう。死にたい」と、自暴自棄になる。
自分の正直な気持ちを残す為に、この頃から、僕は、彫刻の裏に、「I will die」,「死にたい」と彫るようになった。
僕は、孤独の深みと命を削る苦しみの中にいる。
内面の悲しみと空虚を埋められないのだ。