詩の朗読再生
No.82 (1985年、47歳9ヵ月)
美術教師の夢と苦悩・人間復活の願望
(落合「紅寮実験ギャラリー」で制作したレリーフ・セメント彫刻、150.0×38.5㎝、奥行15.5㎝)
僕は、土がほこほこして、草や木がいっぱいある所へ、生徒を連れて行きたいのです。
そこには、川があり、水が溢れ、花が咲いています。
川から溢れる水で、僕は、生徒に足を洗わせ、手を洗わせます。
足も手も、心とつながっています。
洗った足で大地を踏みしめ、手で物に触ることで、心に現実世界とのパイプが通ります。
美術教師の僕は、生徒に、「創作活動は、人間の証明である。生命の神秘の証明である」と教えます。
「偏差値で分断された学校の教室から、飛び出し、本当の自分を取り戻しなさい」と声高に指導します。
生徒たちが、本来の自分を取り戻せるように。
狭い教室の中で、枠にはまって、つぶされないように。
美術の時間は、自由に溢れ恐怖の感情や対人恐怖症が和らぐ場でありたいのです。
路傍の石ころにさえ、愛情を注げる人間を育てたいのです。
これが、美術教師である僕の夢で、学校と言う現実の中で、生きざるを得ない者の苦悩です。