詩の朗読再生
No.81 (1985年、47歳9ヵ月)
ガス室で殺された少女(アウシュビッツの記憶・僕の思想・僕の生き方)
(落合「紅寮実験ギャラリー」で制作したレリーフ・セメント彫刻、142.0×40.5㎝、奥行16.2㎝)
夜陰の霧に紛れて、人々が連れ去られ、消される。
アウシュビッツ強制収容所。
ガス室とホロコーストの記憶。
少女は、生きたまま殺された。
人間の手で(ビクトール・フランクル・「夜と霧」より)。
僕は、彫刻を通して、彫刻を見る人や生徒達に、命の尊さを伝えて来た。
彫刻は、絶望から出発して、希望に終わるものであること。
作品を作ることは、人間が生き延びる手段であること。
小林秀夫のいうように、芸術が無ければ、人間は壊れてしまうこと。
これらのことを、僕は、生徒達に、命がけで、伝えて来た。
これは、彫刻家としての、僕の生き方であり、使命だと信じて。
崇高な思想を持って結婚し、23年間、懸命に生きて来たのではないのか。
教師を続けて来たのではないのか。
子供を育てて来たのではないのか。
妻を愛したのではないのか。
何故、つまらない出来心で23年間をぶち壊すのか。
矜持を持って生きるのだ。
自分の信念を曲げずに生きるのだ。
若かった頃の正義と理想を、忘れずに、生きるのだ。